
鈴木 克幸
郡山事業所
所長
ーー 最初に郡山事業所のミッションと目標、目下の取り組み内容について教えてください。
鈴木 当事業所は、従来は東京本社が主管する開発・保守業務を支援するニアショア的な業務と、「クリアルート」や「たび助」などの製品の開発・保守を主な事業としていました。しかし当社の事業分野の再編の結果、当事業所は、東北地方、とくに宮城県・福島県・山形県の南東北においてビジネスを拡大する一大拠点へと大きく性格を変えることになりました。
目下の目標は、南東北のお客様企業のさまざまなIT化を幅広くご支援できる実力と組織力、体制を整えることで、いくつかの課題に取り組んでいます。
ーー 事業分野の再編で大きく変わったことは何ですか。
鈴木 一番大きかったのは、当事業所の売上の大きな部分を占めていた旅行会社関連の事業をすべて本社へ移管したことです。そのため当事業所は、新たな売上の柱を作ることが必要になりました。そこが大きな変化でした。
ーー その新しい事業について、どのような構想を立てているのですか。
鈴木 1つはIBM iを中心に基幹システムの運用を続けてこられたお客様の、システム継続のためのご支援事業です。
東北地方では多くのお客様がIBM iを利用されていますが、システム要員の不足や新しい技術に関する知識・経験の不足などに直面し、システムの継続利用に不安を抱えておられます。
そしてその事情は、東北地方のベンダーサイドでも同様で、お客様企業への継続的なご支援に不安や課題を抱えています。そこに、当社の総合力とIBM i分野に関する経験や技術力を活かせる大きな領域があると考えています。
ーー 何か具体的に進んでいるのですか。
鈴木 今取り組んでいるのは、原材料メーカーのお客様の案件で、老朽化したIBM iシステムのモダナイゼーションです。古い仕組みのIBM iをWeb化し、RestAPIなどIBM i分野では新しい技術を多用して、拡張性のある柔軟なシステムに作り変えます。
ーー IBM iは当社が重点分野の1つですが、それとシンクロする取り組みでもあるのですね。
鈴木 そうです。古いIBM iシステムをお使いのお客様が次世代へ向けてシステムを再構築する時は、IBM i以外のオープン系やクラウドなどの技術も必要となりますから、当社の総合力を活かせる領域です。そこへの道を拓くためのインターフェースとなるのが、当事業所への期待の1つだと考えています。
ーー ところで鈴木さんは、メインフレームのオペレーション(運用・保守)からキャリアをスタートさせているのですね。
鈴木 最初に就職した会社が旅行会社のデータセンターの運用の一部を任されていて、その要員として派遣されたのが最初です。1991年のことで、運用を担当したのはNECのメインフレームでした。そこで5年ほど経験を積み、その間に当社の前身であるエヌシステムへ転職しています。
そして情報処理技術者試験の「一種」(現在の「応用情報技術者試験」)に合格したのを機に、データセンターのあった福島県泉崎から東京へ転勤となり、10年ほど勤務しました。
東京での主な仕事は、当時のトレンドであった基幹サーバーのダウンサイジングとマイグレーションで、さまざまな業種のお客様のシステム移行を、NECや沖電気のメーカーSEとして担当しました。メインフレームのCOBOLからAIXやWindowsベースのOpen COBOL(現、GnuCOBOL)へのマイグレーションなどを多く担当しました。
ーー 郡山へ転勤するのはいつですか。
鈴木 エヌシステムが泉崎から郡山へ移って拠点の拡充に乗り出した時です。郡山は私の生まれ故郷で、地元で仕事をしたいという希望をかねてから抱いていたのです。2007年のことでした。
ーー 郡山事業所ではどのような仕事を担当したのですか。
鈴木 私が担当した中で大きかったのは旅行会社のシステム改修で、1000人月を超えるプロジェクトでした。私はその中でPMを務めたのですが、改修はうまくいき、その後もそのお客様からは仕事を受注するという良好な関係が続きました。
ーー IBM iとはどこで接点があるのですか。
鈴木 エヌシステム時代にIBM iビジネスの拡大に取り組んだことがありました。IBM i(Power)は安定性と継承性に優れたプラットフォームで、RPGも非常に使いやすい言語だと認識しています。将来性のある技術・プラットフォームですね。
ーー 郡山事業所が今テーマとして取り組んでいることは何ですか。
鈴木 まず東北地方における当社の知名度や認知度の向上です。これは当社全体のテーマでもありますが、当事業所が先鞭をつける必要があると考えています。
もう1つは人材の育成です。当事業所はニアショア的な仕事をたくさんしてきたので、人材面でいうと、PL(プロジェクトリーダー)やPMを育てる環境に乏しかったと言えます。今後はPM、PLの育成に注力していくつもりです。
ーー 具体的には、どのようなことを考えているのですか。
鈴木 PM、PLの育成に一番効果があるのは、プロジェクトの中でPMやPLを務めてもらうことです。そのためには当事業所が主管となる案件を数多く受注していくことが必要だと考えています。
もう1つは、若い人たちに社内の技術勉強会であるJLab(ジェイラボ)で新しい技術を学んでもらうことです。郡山事業所版のJLabは今年3月にスタートしたばかりですが、すでにReactなどの勉強会を終えています。今後はフロントがReactで、バックエンドがIBM iというシステム構築も容易になると期待しています。
ーー 鈴木さんの自身の課題は何ですか。
鈴木 私は現在、エンジニアとマネジメントを兼ねるプレーイングマネージャーになっているので、エンジニアの部分は早期に若いスタッフに任せて、自分はマネジメントに徹して、当事業所全体のかじ取り役に専念する必要があると思っています。