経理業務を担当しているお客様へのお役立ちコラム|第8回 令和8年度税制改正のポイント ~インボイス経過措置の見直しと設備投資税制を実務目線で整理

2026/02/03コラム

松本 直樹

松本直樹税理士事務所 税理士

はじめに

令和8年度税制改正は、経理・人事の現場実務に直結する改正が多く含まれています。特に消費税分野では、インボイス制度開始後の実務状況を踏まえ、「経過措置の見直し」が打ち出されました。

本稿では、消費税(インボイス制度)を中心に、法人税の設備投資税制(特別償却)についても解説します。

なお、本内容は税制改正大綱の情報に基づくものであり、今後の施行令や通達等で詳細が確定する点にご留意ください。

1.消費税:インボイス制度「経過措置の見直し」

(1)2割特例終了後の措置 ― 個人事業者向け「3割特例」(2年限定)

いわゆる「2割特例」は予定どおり終了しますが、その後の激変緩和措置として、個人事業者に限り、納付税額を売上税額の3割とする経過措置が、2年間限定で設けられます。

対象は、令和9年・令和10年に含まれる課税期間で、申告時に適用する形式が想定されています。

実務上のポイント

・法人は対象外(簡易課税等への移行が基本)
・個人事業者については、
   - 2割特例
   - 3割特例(2年)
   - その後の本則・簡易課税   

という流れを、課税期間ベースで整理しておくことが重要です

(2)免税事業者等からの仕入れに係る控除割合の段階的縮減

免税事業者等からの仕入れについて認められている仕入税額控除の経過措置は、次のように段階的に縮減されます。

・令和 8年10月以降:70%
・令和10年10月以降:50%
・令和12年10月以降:30%
・令和13年9月末で終了

実務上のポイント

・「免税事業者等」に該当する取引先を、取引先マスターで明確化しておく
・課税期間により控除割合が異なるため、期ズレ・締日処理に注意
・月次段階で控除対象額を把握できる集計軸があると、決算時の修正が減る

(3)経過措置が使えない取引の上限引下げ(10億円→1億円) 

今回の改正で特に注意が必要なのが、経過措置の適用が制限される取引金額の上限です。

具体的には、一の免税事業者(*)からの課税仕入れの合計額は、年10億円から年1億円へ大幅に引き下げられる方向が示されています。

(*)一の免税事業者:適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)ではない事業者、または登録を取り消した事業者

実務上のポイント

・免税事業者等との取引が多い企業では、

   - 取引先別
   - 課税期間別

の累計管理が重要になります

・会計ソフトによる月次管理体制を早めに整えておくと安心です。

なお最終的な単位等は、今後の通達等での確認が必要です

2.法人税:少額減価償却資産特例の拡充

中小企業者が取得した減価償却資産について、取得年度に全額を損金算入できる対象範囲は、現行の30万円未満から40万円未満へと引き上げられます。ただし、年間限度額は、現行どおり300万円までのままです。

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今後、施行令や通達、申告書様式が公表され次第、実務対応はさらに明確になります。

最新情報を確認しながら、会計ソフトの設定・運用を見直す契機としていただければ幸いです。


松本 直樹

松本直樹税理士事務所 税理士
https://minnadekomon.jp/

石川県金沢市生まれ
金沢大学法文学部経済学科卒業
卒業後、証券会社で債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
証券会社を退職後、税理士事務所勤務
1997年 税理士試験合格
1999年 松本直樹税理士事務所として独立開業
2006年 株式会社ケーエムエスを設立
2014年 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年 合同会社「みんなで顧問」設立
2023年 マンガ本「みんなの相続」出版
2024年 一般社団法人みんなで顧問設立

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