経理業務を担当しているお客様へのお役立ちコラム|第4回 令和7年度税制改正の注目ポイント(消費税)

2025/01/30コラム

松本 直樹

松本直樹税理士事務所 税理士

本コラムでは、令和7年度の税制改正における消費税関連の改正点を中心に解説します。経理部・財務部の皆様にとって、日々の業務に直結する重要な変更が含まれています。特に国際取引に関わる部分に焦点を当て、具体的な改正内容とその業務への影響を掘り下げていきます。

消費税改正の主要なポイント

今年度の税制改正では、国際的な観点から消費税の取り扱いが大きく見直されています。以下、主要な改正内容を詳しくご紹介します。

1. 外国人旅行者向けの消費税免税制度の見直し

令和6年度の改正でリファンド方式への移行の方針が示され、令和7年度でその具体的な施行が始まります。これまでの免税販売制度では、免税時に消費税を免除していましたが、不正取引や免税店の負担が問題となっていました。

新たに導入されるリファンド方式では、商品購入時に消費税が課され、出国時に税関での手続きを経て税額が返金される方式に変更されます。これにより、免税適用の透明性が高まり、不正防止が図られることに加え、事業者の手続き負担も軽減されます。

2. 高額商品の購入記録の強化

高価な商品の取引においては、不正取引のリスクが特に高いため、100万円以上の商品には、購入記録に商品のシリアルナンバーやその他の特定情報を追加することが義務づけられます。この改正により、取引の透明性が大幅に向上し、税務調査の際の証拠提出が容易になります。

3. 免税対象物品の見直しと販売手続の簡素化

免税対象となる物品の範囲が見直され、特定の高リスク商品(金など)は免税の対象外とされます。免税対象かどうかの判断はほぼ不要となり、特殊包装が廃止になるなど、免税販売の手続きも大幅に簡素化され、免税店の運用負担が軽減されることが期待されます。これにより、免税制度の運用効率が向上し、旅行者へのサービス提供がスムーズになります。

施行時期とその影響

新たなリファンド方式の施行は、令和8年11月1日から開始されます。これにより、事業者はそれまでにシステムの改修や業務の再整備を行う必要があります。特に、免税販売を行う店舗では、新しい手続きに対応するための教育と訓練が急務となるでしょう。

まとめ

令和7年度の税制改正におけるこれらの変更は、国際貿易を行う多くの企業にとって大きな影響をもたらします。適切な情報収集と対策の準備を進めることで、改正による影響を最小限に抑え、業務の効率化を図ることが可能です。引き続き、最新の情報を確認し、業務に役立てていただければと思います。


松本 直樹

松本直樹税理士事務所 税理士
https://minnadekomon.jp/

石川県金沢市生まれ
金沢大学法文学部経済学科卒業
卒業後、証券会社で債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
証券会社を退職後、税理士事務所勤務
1997年 税理士試験合格
1999年 松本直樹税理士事務所として独立開業
2006年 株式会社ケーエムエスを設立
2014年 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年 合同会社「みんなで顧問」設立
2023年 マンガ本「みんなの相続」出版
2024年 一般社団法人みんなで顧問設立

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